市之瀬敏晴

A01-PF7
慢性飢餓ストレスが引き起こす
睡眠リズム障害の翻訳メカニズム
市之瀬 敏晴
東北大学 学際科学フロンティア研究所
研究キーワード:
ショウジョウバエ 低栄養ストレス 睡眠リズム 翻訳プロファイリング
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研究概要
ずっとストレスがかかっていると夜眠れず、代わりに昼間に眠くなってしまう、そんな経験がある方もいると思います。今回私は、慢性的なストレスが睡眠リズムの乱れを引き起こす分子メカニズムを、ショウジョウバエを使って明らかにすることを目指します。ストレス応答や適切な睡眠調節には、転写だけでなく翻訳レベルでのタンパク質合成の調節が極めて重要な役割を果たすことがわかっています。私たちはこのハエにおいて、低栄養の餌による飢餓ストレスを数日間にわたって加えることで、「夜間睡眠の減少と昼間睡眠の増加」という睡眠リズム障害が引き起こされることを見出しています。さらに、本領域の岩崎班と共同で、ハエ脳の標的細胞から特異的にタンパク質翻訳をプロファイリングする技術を整えました。本研究ではこの独自の実験系と技術を活用し、神経系における翻訳レベルの日内変動が慢性ストレスによってどういった影響を受けるのか、明らかにします。さらに、ハエの遺伝学ツールを使ってその発現を操作して睡眠を測定することで、睡眠リズムやその障害に対する因果関係の解明を目指します。以上、ストレス性の睡眠リズム障害の分子メカニズムを解明します。
主要論文
- Ichinose T, Tanimoto H. Profiling translation in the nervous system. J Biochem. 2025 Jan 2:mvae096. doi: 10.1093/jb/mvae096.
- Ichinose T, Kondo S, Kanno M, Shichino Y, Mito M, Iwasaki S, Tanimoto H. Translational regulation enhances distinction of cell types in the nervous system. Elife. 2024 Jul 16;12:RP90713.
- Kanno M, Hiramatsu S, Kondo S, Tanimoto H, Ichinose T. Voluntary intake of psychoactive substances is regulated by the dopamine receptor Dop1R1 in Drosophila. Sci Rep. 2021 Feb 9;11(1):3432.
- Ichinose T, Kanno M, Wu H, Yamagata N, Sun H, Abe A, Tanimoto H. Mushroom body output differentiates memory processes and distinct memory-guided behaviors. Curr Biol. 2021 Mar 22;31(6):1294-1302.e4.
- Ichinose T, Aso Y, Yamagata N, Abe A, Rubin GM, Tanimoto H. Reward signal in a recurrent circuit drives appetitive long-term memory formation. Elife. 2015 Nov 17;4:e10719.
略歴
2005年4月-2009年3月 東京大学理学部生物学科(学士課程)
2009年4月-2011年3月 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻(修士課程)
2011年5月-2014年3月 マックスプランク神経生物学研究所(博士課程)
2014年4月-2015年10月 東北大学生命科学研究科(博士課程)
2014年4月-2016年3月 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2016年4月-2017年3月 東北大学生命科学研究科(研究支援者)
2017年4月-2019年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)
2019年4月-2024年3月 東北大学学際科学フロンティア研究所(助教)
2024年4月-現在 東北大学学際科学フロンティア研究所(准教授)
主な所属学会
- 日本神経科学会
- 日本RNA学会
趣味
ボート釣り アクアリウム