本領域では2025~2026年度の公募研究を募集いたします。
詳細は以下のとおりです。
公募要領・計画調書のダウンロードはこちらから(文部科学省のHP)
「研究計画調書をカラーで受け付けることとしました。」とのことです
領域の概要
二つの学術変革領域研究(学変)B「時間タンパク質学」と「パラメトリク翻訳」が融合して新たな学変A「時間タンパク質学」へと発展しました。約24時間周期の概日リズムを代表として、心拍、体節形成、季節応答、一斉開花など、生命には秒単位から年単位までさまざまな時間スケールのリズムがみられます。本研究領域では、このように周期的な生命現象や、時をカウントするタイマーのような仕組みに着目し、多様な「時」を生み出す分子メカニズムを解明します。本研究領域が着目するのがタンパク質ダイナミクスです。特定のタンパク質がもつ物性や酵素活性、タンパク質間相互作用、翻訳後修飾、立体構造変化などが「時」をカウントしていると考え、このような研究領域を「時間タンパク質学(Chronoproteinology)」と名付けました。多様な生物種と時間スケールを扱う研究者が集結し、生命の時を生み出す「タンパク質マシーナリー」の理解を目指します。
公募する内容、公募研究への期待等
A01班「概日リズムの時間タンパク質学」では、学変B「時間タンパク質学」のメンバーを中心に、24時間の概日リズムの理解を目指します。転写に依らない自律振動メカニズムや、温度補償的に24時間をカウントする周期決定メカニズムを探求する公募に期待します。温度補償性とは概日時計がもつ特筆すべき特徴で、低温でも高温でもその振動周期がほぼ一定であることを指します。
A02班「非24時間リズムの時間タンパク質学」では、24時間という枠から離れ、秒単位から年単位までさまざまな時間スケールの「時」にアプローチします。生物リズムやタイマーのように時をカウントする生命現象を対象とし、その記述だけでなく、「時」をカウントする分子メカニズムを探求する公募に期待します。A01とA02の領域にまたがり、24時間リズムと非24時間リズムの関係性に着目した研究課題も歓迎します。
本研究領域では、ゲノムやRNAの配列決定に加えて、RNA量、翻訳効率、タンパク質量、翻訳後制御や相互作用状態などの定量解析の支援を行います。中でも総括班で運用する次世代質量分析装置「アストラル」は、1万を超えるタンパク質の量を超高速で定量することが可能です。これを古典的な生化学と組み合わせることにより、タンパク質の状態を網羅的に捉えることが可能になります。これまでRNAの階層にのみ適用できた解析技術をタンパク質の階層に適用することにより、真に機能的なタンパク質の実態を見ることができるようになります。さらに、フィールドワークについても動物から植物まで経験豊富な総括班員からのサポートを受けられます。フィールドワークを必要とするような非モデル生物を対象とした研究も歓迎します。ユニークな実験材料と研究テーマに対して、本研究領域の技術支援を最大限に活用し、世界で初めてそのタンパク質レベルでの理解を深めて下さい。
時間タンパク質学の創生のためには、技術支援だけでなく技術開発も重要です。B01班「多様な「時」をデコードするパラメトリク制御の解析技術」では、A03班「時間タンパク質学を支えるパラメトリク翻訳」が展開する「パラメトリク制御」という観点に基づいた技術開発を目指します。従来、タンパク質というのは転写されたRNAの量に比例して翻訳される、つまり、タンパク質の量を決めるのはRNAの量を決める転写であると考えられてきましたが、実際には一つのRNAからどれだけタンパク質を翻訳するのか、つまり翻訳の効率または速度がダイナミックに制御されていることが分かってきました。このようにONとOFFで表現されるパラメーターを持たないデジタル制御ではなく、翻訳の効率や速度はアナログ的にパラメトリク制御されているのです。このように定量的なパラメトリク制御に関して、独創的な視点で「時」を読み解く解析技術を開拓する公募研究者を募集します。技術開発の範囲は翻訳の定量や操作に限定せず、イメージング技術やタンパク質の構造や物性の機能解析、情報科学や数理解析を含みます。
公募する研究項目、応募上限額、採択目安件数
研究項目番号 | 研究項目名 | 応募上限額(単年度当たり) | 採択目安件数 |
---|---|---|---|
A01 | 概日リズムの時間タンパク質学 | 400 万円 | 6 件 |
A02 | 非概日リズムの時間タンパク質学 | 400 万円 | 4件 |
B01 | 多様な「時」をデコードするパラメトリク制御の解析技術 | 400 万円 | 6 件 |