概要

人は夜になると眠り、朝に目を覚まします。睡眠と覚醒のリズムに限らず、体温やホルモン分泌、臓器の機能や遺伝子発現など様々な生理機能には時刻依存性(日内リズム)が見られます。このリズムは明暗などの環境サイクルを排除した条件でも規則的に約24時間周期で繰り返されることから概日リズム(circadian rhythm)と呼ばれ、この約24時間をカウントする仕組みは概日時計(circadian clock)と呼ばれます。
概日リズムを代表として、心拍、体節形成、季節応答、一斉開花など、生命には秒単位から年単位まで様々な時間スケールのリズムがみられます。本領域では、このように周期的な生命現象や、時をカウントするタイマーのような仕組みに着目し、多様な「時」を生み出す分子メカニズムを解明します。 本領域では特に、タンパク質ダイナミクスに着目します。特定のタンパク質がもつ物性や酵素活性、タンパク質間相互作用、翻訳後修飾、立体構造変化、翻訳制御などが「時」をカウントしていると考え、このような研究領域を「時間タンパク質学(Chrono-proteinology)」と名付けました。多様な生物種と時間スケールを扱う研究者が集結し、生命の時を生み出す「タンパク質マシーナリー」の理解を目指します。

KAKEN
時間タンパク質学:多様な「時」を生み出すタンパク質マシーナリー
領域代表者:吉種 光(公益財団法人 東京都医学総合研究所)
研究期間 (年度): 2024-04-01 – 2029-03-31
領域番号:24A304

研究組織

学術変革領域研究A「時間タンパク質学」では、以下の3つの班が連携して、生物時計が自律振動する原理、周期の決定メカニズム、環境リズムに同期する仕組みに迫ります。
A01班では、学変B「時間タンパク質学」のメンバーを中心に、24時間の概日リズムの理解を目指します。
A02班では、24時間という枠から離れ、30分、365日、120年と幅広いスケールの「時」にアプローチします。
A03班では、学変B「パラメトリク翻訳」のメンバーを中心に、全ての時間スケールに対して「パラメトリク制御」の観点からメカニズムを紐解きます。

もっと詳しく

> A01:概日リズムの時間タンパク質学

> A02:非概日リズムの時間タンパク質学

> A03:時間タンパク質学を支えるパラメトリク翻訳

> 領域メンバー

領域アドバイザー

  • 本間 さと(札幌花園病院)
  • 井澤 毅(東京大学)
  • 郡 宏(東京大学)
  • David Virshup(Duke-NUS Medical School, Singapore)
  • Nicholas Ingolia(UC Berkley, USA)
  • Jae Kyoung Kim(KAIST, Korea)

名誉アドバイザー
近藤 孝男(名古屋大学 名誉教授)