伊藤浩史

研究概要
分裂する細胞がなぜ概日リズムを保てるのか?この問いは概日時計の実体がわからなかった頃から分子機構が明らかになりつつある今にいたるまで未解決問題である。時計タンパク質の発現や翻訳後修飾は転写翻訳のフィードバックループにより厳密に制御されており、その量が振動発生に重要である。しかし分裂は時刻情報を担う時計タンパク質をランダムに娘細胞に分配し希釈する。この問題に対する申請者の作業仮説は相分離と同期である。すなわち、細胞内に強固な時計ドロップレットを持っており、その内部で同期を行っているという仮説である。この難問への解決にはシアノバクテリアを用いる事がふさわしい。1細胞概日リズム観察・Kaiタンパク再構成系・同期の数理の3つで解決を迫る。
研究協力者
岸村顕広(九州大学工学研究院)
井上大介(九州大学芸術工学研究院)
今井(岡野)圭子(関西医科大学医学部)
主要論文
- Kaji H, Mori F, Ito H. Enhanced precision of circadian rhythm by output system. J Theor Biol. 2023 Oct 7;574:111621
- Seki M, Ito H. Evolution of self-sustained circadian rhythms is facilitated by seasonal change of daylight. Proc Biol Sci. 2022 Nov 30;289(1987)
- Murayama Y, Kori H, Oshima C, Kondo T, Iwasaki H, Ito H. Low temperature nullifies the circadian clock in cyanobacteria through Hopf bifurcation. Proc Natl Acad Sci U S A. 2017 May 30;114(22):5641-5646.
- Ito H, Kageyama H, Mutsuda M, Nakajima M, Oyama T, Kondo T. Autonomous synchronization of the circadian KaiC phosphorylation rhythm. Nat Struct Mol Biol. 2007 Nov;14(11):1084-8.
- Nakajima M, Imai K, Ito H, Nishiwaki T, Murayama Y, Iwasaki H, Oyama T, Kondo T. Reconstitution of circadian oscillation of cyanobacterial KaiC phosphorylation in vitro. Science. 2005 Apr 15;308(5720):414-5.
略歴
2002年 東京工業大学工学部 卒業
2004年 東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻修士課程修了
2008年 東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了 博士(理学)
2008年4月 - 2008年11月 名古屋大学 研究員
2008年11月 - 2009年3月 お茶の水女子大学 お茶大 アカデミックプロダクション 特任リサーチフェロー
2009年 - 2011年 学術振興会 特別研究員PD
2011年 - 2017年 九州大学芸術工学研究院助教
2018年- 九州大学芸術工学研究院准教授
主な所属学会
- 日本時間生物学会
- 日本生物物理学会
- 日本数理生物学会
趣味
子どもといく九州電車旅