原田 慶恵

原田 慶恵

大阪大学
蛋白質研究所

研究キーワード:
細胞内温度計測 蛍光性ナノダイヤモンド 量子センシング 1細胞分泌実時間イメージング

WEBリンク:研究室 researchmap

研究概要

細胞内のナノ領域の環境が生命現象に与える影響を知るためには、それらを計測するためのセンサーの開発が不可欠です。そのようなセンサーとして、蛍光性ナノダイヤモンド(FND)が近年注目を集めています。FND内部に存在する格子欠陥の一種である窒素空孔中心(NVC)は蛍光色素のように退色することなく長期間安定な蛍光を発します。また、NVC内部の電子スピンの量子状態はNVC周囲の環境を鋭敏に反映するため、環境変化はNVCからの蛍光信号の変化として現れます。このような性質を利用することで、FNDは細胞内ナノ領域の物理量を定量的に計測することが可能な“量子センサー”として機能します。我々はこれまで、FNDの量子状態を計測するための光検出磁気共鳴(ODMR)顕微鏡を開発しました。ODMR顕微鏡を用いることで、これまでに細胞内ナノ領域の温度計測および熱伝導計測に成功しています。私たちはFNDを用いて細胞内の物理化学的変化に基づいた振動体の発振原理および位相調節機構の解明に挑みます。

主要論文

  1. Sotoma S, Zhong C, Kah JCY, Yamashita H, Plakhotnik T, Harada Y, Suzuki M. In situ measurements of intracellular thermal conductivity using heater-thermometer hybrid diamond nanosensors. Sci Adv. 7: eabd7888. (2021 )
  2. Igarashi R, Sugi T, Sotoma S, Genjo T, Kumiya Y, Walinda E, Ueno H, Ikeda K, Sumiya H, Tochio H, Yoshinari Y, Harada Y, Shirakawa M. Tracking the 3D Rotational Dynamics in Nanoscopic Biological Systems. J Am Chem Soc. 142: 7542-7554 (2020) 
  3. Masubuchi T, Endo M, Iizuka R, Iguchi A, Yoon DH, Sekiguchi T, Qi H, Iinuma R, Miyazono Y, Shoji S, Funatsu T, Sugiyama H, Harada Y, Ueda T, Tadakuma H. Construction of integrated gene logic-chip. Nat Nanotechnol. 13: 933-940. (2018)

略歴

1982年3月 茨城大学理学部生物学科 卒業  
1984年3月 茨城大学大学院理学研究科生物学専攻修士課程 修了
1988年3月 大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻博士後期課程 修了 工学博士
1988年4月 日本学術振興会 特別研究員(PD)
1990年7月 大阪大学基礎工学部生物工学科 教務職員
1992年10月 ERATO柳田生体運動子プロジェクト 研究員
1998年4月 慶應義塾大学理工学部物理学科 専任講師
2000年4月 東京都臨床医学総合研究所生理活性物質研究部門 室長
2008年3月 京都大学物質-細胞統合システム拠点 教授
2016年7月 大阪大学蛋白質研究所 教授

主な所属学会

  • 日本生物物理学会
  • 量子生命科学会
  • 日本細胞生物学会
  • 日本分子生物学会
  • 日本バイオイメージング学会
  • 電気学会
  • 近畿化学協会
  • Biophysical Society

趣味

わんこと遊ぶこと