川崎洸司

A02-PF7
転写バーストの発振原理の探索:
「転写ハブ振動子仮説」
川崎 洸司
東京大学 定量生命科学研究所 生命動態研究センター
研究キーワード:
転写バースト エンハンサー ショウジョウバエ初期胚 ライブイメージング
WEBリンク:研究室 researchmap
研究概要
真核生物における転写制御機構はゲノム中の非コード配列であるエンハンサーを介して緻密に調節されています。近年のライブイメージング技術の発展は、生細胞内の転写をより高時間解像度かつ一細胞レベルで経時観察することを可能としました。その結果、興味深いことにこれまで単に活性化状態として捉えられてきた転写状態の中にも、より微小な時間スケールで見ると活性化と不活性化状態の遷移を繰り返す振動現象が存在することが明らかとなりました。こうした数分から数時間単位の転写活性の揺らぎは転写バーストと呼ばれ、バクテリアからヒトまで幅広い生物種で観察されています。本研究では、ショウジョウバエ初期胚を用いて超解像ライブイメージング系を構築し、5~10分周期で繰り返される転写バーストとそれに共役した転写マシナリーおよびクロマチン動態を同時に一細胞解像度で計測する。転写バーストを題材に、エンハンサーの動的な作用機構の中に隠されている分単位の「時」をカウントする分子基盤の解明に挑みます。
主要論文
- Kawasaki K, Fukaya T. Functional coordination between transcription factor clustering and gene activity. Mol Cell. 2023 May 18;83(10):1605-1622.e9.
- Yokoshi M, Kawasaki K, Cambón M, Fukaya T. Dynamic modulation of enhancer responsiveness by core promoter elements in living Drosophila embryos. Nucleic Acids Res. 2022 Jan 11;50(1):92-107.
- Kawasaki K, Iwasaki H. Involvement of glycogen metabolism in circadian control of UV resistance in cyanobacteria. PLoS Genet. 2020 Nov 30;16(11):e1009230.
略歴
2020年3月 早稲田大学 先進理工学研究科 博士後期課程 単位取得退学
2021年2月 博士(理学)、早稲田大学
2020年4月~2022年3月 東京大学 定量生命科学研究所・特任研究員
2022年4月~現在 東京大学 定量生命科学研究所・学振特別研究員-PD
主な所属学会
- 日本分子生物学会
- 日本時間生物学会
- 日本生物物理学会
趣味
野球をすること ラジオを聴くこと