篠原 雄太
研究概要
哺乳類の概日時計ではシステム生物学的アプローチの発展により、概日リズムで発現する時計遺伝子やタンパク質が同定され、自律発振動作が起こりうるため全体像が明らかになってきました。概日時計の主な特徴として周囲の温度変化に依存せずに、1日約24時間の周期性を保持する温度補償性という現象があります。一般的に生体内の酵素反応は温度に依存して反応速度は変化しますが、哺乳類概日時計のリン酸化反応は温度に依存せずに常に一定を示します。これまでに、私は哺乳類の概日時計において温度に依存しないリン酸化反応の分子機構を明らかにしてきました。本学術領域では概日時計がもつ温度補償性の生理学的な意義に迫り、時計タンパク質のリン酸化振動体の実態を明らかにしていきます。
主要論文
- Shinohara Y, Koyama YM, Ukai-Tadenuma M, Hirokawa T, Kikuchi M, Yamada RG, Ukai H, Fujishima H, Umehara T, Tainaka K, Ueda HR. Temperature-Sensitive Substrate and Product Binding Underlie Temperature-Compensated Phosphorylation in the Clock. Mol Cell. 67: 783-798.e20. (2017 )
- Narumi R, Shimizu Y, Ukai-Tadenuma M, Ode KL, Kanda GN, Shinohara Y, Sato A, Matsumoto K, Ueda HR. Mass spectrometry-based absolute quantification reveals rhythmic variation of mouse circadian clock proteins. Proc Natl Acad Sci U S A. 113: E3461-7. (2016 )
略歴
2015年3月 大阪大学 生命機能研究科 博士後期課程 修了 博士(工学)
2013~2015年 JSPS日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2015年4月~2018年3月 理化学研究所 生命システム研究センター 特別研究員
2018年4月~2021年9月 理化学研究所 生命機能科学研究センター 研究員
2021年10月~現職 北海道大学 遺伝子病制御研究所 特任講師
主な所属学会
- 日本蛋白質科学会
- 日本生物物理学会
趣味
旅行 ゲーム サウナ