八木田 和弘

八木田 和弘

京都府立医科大学
大学院医学研究科

研究キーワード:
概日時計 発生 多能性幹細胞 in vitro 再現系

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研究概要

私は1997年に大学院に入学しました。この年は哺乳類時計遺伝子が初めて単離された記念碑的な年ですが、私の概日リズム研究はまさに時計遺伝子の発見と共に始まりました。この頃は、哺乳類の概日時計研究といえば視交叉上核の研究と同義であるという時代でしたが、私は1997年から培養細胞系を用いた時計遺伝子の発現解析から研究を開始しました。そこから一貫して、現在に至るまで、概日リズムのin vitro再現系の構築とそこから生命原理を抽出しようとする挑戦を続けています。最初は、培養線維芽細胞にも遺伝的に規定された概日時計が保存されていることの証明(Science, 2001)、そこからマウスES/iPS細胞を用いて概日時計が細胞分化と共役することを発見し、概日時計の発生過程をin vitroで再現することに成功(PNAS, 2010)。さらにもう一つの生物時計である体節時計と概日時計が発生過程で相互排他の関係にあることに着目し、in vitroでも保存されている「遅い概日時計の発生」には、体節形成との異なる周波数のリズム干渉を避けることで正常な発生制御を可能にしているという可能性を提唱しました(PNAS, 2022)。また、この10年ほどは、マウスコホートモデルというシフトワークを模した環境モデル系を構築し、マウス個体レベルでの周波数特性と可塑性に着目した概日リズムによる恒常性維持機構や病態との関連について研究を進めています(iScience, 2024)。学術変革領域では、周波数特性の創出に焦点を絞り、ES細胞を用いた概日時計の形成モデルやマウス個体を用いてその原理について突き詰めたいと考えています。

主要論文

  1. Koike N, Umemura Y, Inokawa H, Isao Tokuda, Yoshiki Tsuchiya, Yuh Sasawaki, Atsushi Umemura, Naoko Masuzawa, Kazuya Yabumoto, Takashi Seya, Akira Sugimoto, Seung-Hee Yoo, Zheng Chen, Yagita K. Inter-individual variations in circadian misalignment-induced NAFLD pathophysiology in mice, iScience, 108934 (2024)
  2. Umemura Y, Koike N, Tsuchiya Y, Watanabe H, Kondoh G, Kageyama R, Yagita K. Circadian key components CLOCK/BMAL1 interferes with segmentation clock in mouse embryonic organoids., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 119: e2114083119 (2022)
  3. Umemura Y, Koike N, Ohashi M, Tsuchiya Y, Meng QJ, Minami Y, Hara M, Inokawa H, Hisatomi M, Yagita K. Involvemant of post-transcriptional regulation of Clock in the emergence of circadian clock oscillation during mouse development., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 114: E7479-7488 (2017)
  4. Yagita K, Horie K, Koinuma S, Nakamura W, Yamanaka I, Urasaki A, Shigeyoshi Y, Kawakami K, Shimada S, Takeda J, Uchiyama Y, Development of circadian oscillator during differentiation of mouse embryonic stem cell in vitro., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107: 3846-3851 (2010)
  5. Yagita K, Tamanini F, van Der Horst GT, Okamura H. Molecular mechanisms of the biological clock in cultured fibroblasts., Science., 292: 278-81 (2001)

略歴

現職:京都府立医科大学 大学院医学研究科 統合生理学 教授
1995年(平成7年) 京都府立医科大学卒業。内科での研修後、京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程入学。2000年(平成12年) 博士(医学)。神戸大学医学部助手、名古屋大学理学部COE助教授、大阪大学医学系研究科准教授を経て、2010年(平成22年)より現職。
日本解剖学会奨励賞、日本時間生物学会奨励賞、日本組織細胞化学会奨励賞、京都府公立大学法人表彰 研究部門賞、AOSP Award for Young Scientistなどを受賞。

主な所属学会

  • 日本時間生物学会
  • 日本生理学会
  • 日本睡眠学会
  • 日本生化学会

趣味

茶道、ゴルフ、自然観察