寺内 一姫
研究項目 A01-2 分担
シアノKaiCリズム
寺内 一姫
立命館大学
生命科学部
研究キーワード:
シアノバクテリア 時計タンパク質 KaiC ATPase 光合成
WEBリンク:研究室 researchmap
研究概要
シアノバクテリアは植物と同じ酸素発生型光合成をする原核生物で、概日時計を備えた最も単純な生き物といわれています。その概日時計は3つの時計タンパク質(KaiA, KaiB, KaiC)から構成され、試験管内で概日リズムを再構成することができます。このタンパク質のリズムは、安定な24時間周期が温度補償され、細胞の概日時計と同様な性質をもちます。Kaiタンパク質による概日時計の再構成系は、生きた細胞の機能と信じられていた概日時計研究に大きなインパクトをもたらしました。時計の中心振動体としてはたらくKaiCはATP加水分解酵素(ATPase)であり、その活性は概日時計の周期を規定しています。ATPaseによるATP加水分解で生じるエネルギーは生命活動をささえる基盤となっていますが、KaiCはATPの加水分解エネルギーを、24時間を測るために利用していることになります。私たちは、ATPaseとしてのKaiCの性質を解析することを通して、概日時計のメカニズムや進化を理解していきたいと考えています。
主要論文
- Furuike Y, Mukaiyama A, Koda SI, Simon D, Ouyang D, Ito-Miwa K, Saito S, Yamashita E, Nishiwaki-Ohkawa T, Terauchi K, Kondo T, Akiyama S. Regulation mechanisms of the dual ATPase in KaiC. Proc Natl Acad Sci U S A. 119: e2119627119 (2022)
- Ito-Miwa K, Terauchi K, Kondo T. Mechanism of the Cyanobacterial Circadian Clock Protein KaiC to Measure 24 Hours. Circadian Rhythms in Bacteria and Microbiomes, Springer pp.79-91 (2021)
- Wiegard A, Köbler C, Oyama K, Dörrich AK, Azai C, Terauchi K, Wilde A, Axmann IM. Synechocystis KaiC3 Displays Temperature- and KaiB-Dependent ATPase Activity and Is Important for Growth in Darkness. J Bacteriol. 202:e00478-19. (2020 )
- Oyama K, Azai C, Nakamura K, Tanaka S, Terauchi K. Conversion between two conformational states of KaiC is induced by ATP hydrolysis as a trigger for cyanobacterial circadian oscillation. Sci Rep. 6: 32443. (2016)
- Terauchi K, Kitayama Y, Nishiwaki T, Miwa K, Murayama Y, Oyama T, Kondo T. ATPase activity of KaiC determines the basic timing for circadian clock of cyanobacteria. Proc Natl Acad Sci U S A. 104: 16377-81. (2007 )
略歴
1999年 東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了 博士(学術)
2008年 名古屋大学大学院理学研究科 特任講師
2009年 立命館大学生命科学部 准教授
2017年 立命館大学生命科学部 教授
主な所属学会
- 日本時間生物学会
- 日本植物生理学会
- 日本光合成学会
- 日本ゲノム微生物学会
趣味
料理、ドライブ