八木田 和弘

研究項目 A03

生命の時間を宿す機能的KaiCホモログの探索技術の開発

八木田 和弘

研究キーワード:概日時計の発生 細胞分化 概日リズム恒常性

概日時計研究に20年以上携わっていますが、どんどんその不思議な生命のしくみに魅了され、引き込まれて行っている自分に気付きます。私は、研修医時代の経験から、概日時計がヒトの身体の中で実際に大切な役割を果たしていることを目の当たりにしたことで、概日リズム研究に取り行くむ決心をしました。哺乳類時計遺伝子の発見と時を同じくして大学院に入学し、培養細胞の時計遺伝子の発現解析から研究を始め、培養している線維芽細胞にも遺伝的に規定された概日時計が存在することを明らかにしました。さらに、in vitroでES細胞を分化誘導すると細胞自律性に概日時計のリズムが出現してくることを見出し、ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞を用いて細胞分化と概日時計が共役関係にあることを明らかにしました。その過程で、普遍的な細胞機能としての概日時計の意義について考えることがライフワークの一つとなりました。この領域では、概日時計がダイナミックに変化する発生過程に着目して時間を担うタンパク質の特性を理解したいと考えています。

主要論文

  1. Inokawa H, Umemura Y, Shimba A, Kawakami E, Koike N, Tsuchiya Y, Ohashi M, Minami Y, Cui G, Asahi T, Ono R, Sasawaki Y, Konishi E, Yoo S-H, Chen Z, Teramukai S, Ikuta K and Yagita K*., Chronic circadian misalignment accelerates immune senescence and abbreviates lifespan in mice., Sci Rep.,10, 2569, 2020
  2. Umemura Y, Koike N, Ohashi M, Tsuchiya Y, Meng QJ, Minami Y, Hara M, Inokawa H, Hisatomi M, Yagita K*., Involvement of post-transcriptional regulation of Clock in the emergence of circadian clock oscillation during mouse development., PNAS, 114, E7479-7488, 2017
  3. Umemura Y, Koike N, Matsumoto T, Yoo S-H, Zhen C, Yasuhara N, Takahashi JS, Yagita K*., Transcriptional Program of Kpna2 /Importin-a2 Regulates Cellular Differentiation-Coupled Circadian Clock Development in Mammalian Cell, PNAS, 111, E5039-48, 2014
  4. Yagita K*, Horie K, Koinuma S, Nakamura W, Yamanaka I, Urasaki A, Shigeyoshi Y, Kawakami K, Shimada S, Takeda J, Uchiyama Y, Development of circadian oscillator during differentiation of mouse embryonic stem cell in vitro., PNAS, 107, 3846-3851, 2010.
  5. Yagita K, Tamanini F, van Der Horst GT, Okamura H. Molecular mechanisms of the biological clock in cultured fibroblasts., Science, 292:278-81. 2001

 

略歴

1995年 京都府立医科大学医学部医学科 卒業
2000年 京都府立医科大学大学院博士課程修了
2000年~2003年 神戸大学大学院医学研究科 助手
2003年~2006年 名古屋大学大学院理学研究科 COE助教授
2006年~2010年 大阪大学大学院医学系研究科 准教授
2010年〜現在 現職

所属学会

  • 日本時間生物学会
  • 日本生理学会
  • 日本分子生物学会
  • 日本睡眠学会
  • 日本生化学会
  • 日本解剖学会

趣味

散歩、犬と遊ぶ、茶道