研究項目 A04
Nemuri複合体の同定とその物性理解
研究代表者
戸田 浩史
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構
助教
研究キーワード:睡眠 分子遺伝学 Nemuri ショウジョウバエ
WEB リンク:研究室ホームページ
研究対象は神経発生・細胞生物学・行動遺伝学と変遷してきましたが、学部生時代から一貫して分子遺伝学的解析の優れたショウジョウバエを主に扱って、研究を推進してきました。現在の主な研究対象は「睡眠」です。睡眠は神経を有するあらゆる動物に保存されている生命現象です。しかし、その本質的な「意義」や「分子神経制御機構」の多くは未だ謎に包まれたままです。約20年前にショウジョウバエも睡眠様の行動をしていることが明らかにされ、睡眠を行動学的に計測するアッセイ系が確立されてから、睡眠を調節する様々な因子が同定されてきました。とはいえ、睡眠の分子調節機構の全体像を明らかにするには、道半ばです。そこで、私たちのグループは独自の行動スクリーニングを立ち上げ、新規の睡眠制御因子を探索したところ、2つの新規遺伝子を同定することに成功しました。1つは睡眠を強く誘引する遺伝子で’nemuri’と名付けました。Nemuriは変性ドメインを含むペプチドであることから、多くの因子を巻き込んで睡眠誘引能を果たしていると考えられます。本班ではNemuriの時間タンパク質学を推し進めることで、Nemuriがどのようなメカニズムで睡眠を誘引するのかを理解できると期待しています。
主要論文
- Bedont, JL*, Toda, H.*, Shi, M.*, Park, CH., Quake, C., Stein, C., Kolesnik, A., Sehgal, A. (2021) “Short and long sleeping mutants reveal links between sleep and macroautophagy” Elife. Jun 4;10:e64140. (*Equal contribution)
- Yamazaki, R. *, Toda, H. *, Libourel, P.A., Hayashi, Y., Vogt, K.E., Sakurai, T. (2020) “Evolutionary Origin of Distinct NREM and REM Sleep” Front. Psychol. Dec 14; (11):3599. (*Equal contribution)
- Toda, H., Williams, JA., Gulledge,, Sehgal, A. (2019) “A novel sleep-inducing gene, nemuri, links sleep and immune function.” Science. Feb 1; 363(6426):509-515.
略歴
2002年 筑波大学第二学群生物学類 卒業
2004年~2009年 シティオブホープ研究所(米国)・実験補助員
2009年 博士(理学)、筑波大学
2010年~2013年 分子病理学研究所(オーストリア)・研究員
2013年~2019年 ハワードヒューズ医科学研究所(米国)・研究員
2019年~現在 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 助教
所属学会
ショウジョウバエ研究会
趣味
クラシックコンサート・カフェ巡り・フットサル・柔道・読書(過去)
子供と遊ぶこと(現在)