村中 智明

研究項目 A02

巨大単細胞緑藻で探る1日を規定するタンパク質特性

村中 智明

研究キーワード:概日時計 トランスクリプトーム 進化生態 ウキクサ

生命が生み出す約1日周期のリズム、概日リズム。この興味深い生命現象について、主に植物を使って研究してきました。最初はウキクサ植物に発光レポーター技術を用いて、1細胞レベルでの遺伝子発現リズムを測定し、細胞間での同期を解析しました。最近では、自然環境下での遺伝子の発現リズムを野外トランスクリプトームにより解析しています。昼夜に同期したリズムを刻む多くの遺伝子が、冬にはリズムが停止してしまいます。主要な時計遺伝子がリズム停止していても、一部の遺伝子は時間情報を保持することが分かってきました。転写だけを見ていては実体がつかめないように思え、時間タンパク質学の必要性を感じています。まずは、核がない状態でも概日リズムが長期間持続するカサノリを対象に、これまでの研究で培ったトランスクリプトームとリズム解析の技術で、時間タンパク質の探索を行い、そこから生物全体での概日時計を見渡すことができればと考えています。自然界における概日リズム周期の自然多様性にも興味があり、概日時計の特性を変化させる、局所適応に重要な遺伝子の探索も進めていきます。

主要論文

  1. Panter P, Muranaka T, Cuitun-Coronado D, Graham C, Aline Yochikawa A, Kudoh H, Dodd A, Circadian regulation of the plant transcriptome under natural conditions, Frontiers in Genetics, 10: 1239, 2019
  2. Nomura M, Muranaka T, Tomita J, Matsuno K, Time from Semiosis: E-series Time for Living Systems, Biosemiotics, 11(1):65-83, 2018
  3. Muranaka T, and Oyama T Heterogeneity of cellular circadian clocks in intact plants and its correction under light-dark cycles, Science Advances, 2(7): e1600500, 2016
  4. Muranaka T, Okada M. Yomo J. Kubota S. Oyama T. Characterization of circadian rhythms of various duckweeds, Plant Biology, 17 (s1) 66-74, 2015
  5. Muranaka T, Kubota S. Oyama T A single-cell bioluminescence imaging system for monitoring cellular gene expression in a plant body, Plant Cell Physiol., 54 (12): 2085-2093, 2013

略歴

2015年9月 京都大学大学院理学研究科博士後期課程 卒業
2015年9月 博士(理学)、京都大学
2015年10月~2016年2月 京都大学大学院理学研究科・研究員
2016年3月~2017年3月 名古屋大学大学院理学研究科・研究員
2017年4月~2020年3月 京都大学生態学研究センター・研究員
2020年4月~現在     日本学術振興会特別研究員PD

所属学会

  • 日本時間生物学会
  • 種生物学会
  • 日本植物生理学会
  • 植物学会
  • 生態学会
  • 進化学会
  • 時間学会
  • 農業気象学会

趣味

読書(SF)、中古レコード収集