研究項目 A02
巨大単細胞緑藻で探る1日を規定するタンパク質特性
研究代表者
松尾 拓哉
北里大学 理学部
教授
研究キーワード:緑藻 概日時計 カサノリ クラミドモナス 進化
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私は緑藻を用いて概日時計の研究を行っています。これまではモデル緑藻のクラミドモナスを用いて分子遺伝学的な研究を行ってきました。その結果、緑藻は陸上植物とある程度共通した時計の部品を持つことが分かってきました。しかし、緑藻独自の部品やメカニズムもあり、緑色植物における概日時計の進化的な多様性も見えてきました。近年は“カサノリ研究の再興”に取り組んでいます。カサノリは緑藻(アオサ藻)の一種で、傘のような形をした全長が数cmの生物です。このような形と大きさですが、実はひとつの細胞で構成された巨大単細胞生物です。かつては盛んであったカサノリ研究ですが、残念なことに現在では世界的に衰退しています。しかし、カサノリで行われていた除核や接ぎ木などの巨大細胞の特徴を活かした実験技術は、現在においても他に代え難いものです。本学術領域では、このようなカサノリの特徴を活かして、転写に依存しない概日時計のメカニズムの解明を目指します。特に、転写非依存的なタンパク質の自律振動に着目して研究を進めます。
主要論文
- Matsuo T, Iida T, Ohmura A, Gururaj M, Kato, Mutoh R, Ihara K, Ishiura M: The role of ROC75 as a daytime component of the circadian oscillator in Chlamydomonas reinhardtii. PLOS Genet., 16(6): e1008814, 2020
- Kinoshita A, Niwa Y, Onai K, Yamano T, Fukuzawa H, Ishiura M, Matsuo T: CSL encodes a leucine-rich-repeat protein implicated in red/violet light signaling to the circadian clock in Chlamydomonas. PLOS Genet., 13(3), e1006645, 2017
- Niwa Y, Matsuo T, Onai K, Kato D, Tachikawa M, Ishiura M: Phase-resetting mechanism of the circadian clock in Chlamydomonas reinhardtii. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 13666-13671, 2013
- Matsuo T, Okamoto K, Onai K, Niwa Y, Shimogawara K, Ishiura M: A systematic forward genetic analysis identified components of the Chlamydomonas circadian system. Genes Dev., 22, 918-930, 2008
- Matsuo T, Yamaguchi S, Mitsui S, Emi A, Shimoda F, Okamura H: Control mechanism of the circadian clock for timing of cell division in vivo. Science, 302, 255-259, 2003
略歴
2003年3月 山口大学理工学研究科博士後期課程 単位取得退学
2003年4月~2004年3月 名古屋大学遺伝子実験施設・研究員
2004年3月 博士(理学)、山口大学
2004年4月~2007年3月 日本学術振興会特別研究員PD
2007年4月~2009年2月 名古屋大学遺伝子実験施設・研究員
2009年3月~2016年3月 名古屋大学遺伝子実験施設・助教
2016年4月~現在 名古屋大学遺伝子実験施設・講師
所属学会
- 日本遺伝学会
- 日本植物生理学会
- 日本時間生物学会
趣味
お酒とゲーム