研究項目 A01
時計タンパク質の相互作用リズムと翻訳後修飾コード
研究代表者
吉種 光
東京都医学総合研究所 体内時計プロジェクト
プロジェクトリーダー
研究キーワード:マウス 概日時計 生化学 質量分析
WEB リンク:researchmap
なぜ毎日寝なくてはいけないんだろう。そんな素朴な疑問をきっかけに生物が長い時間をかけて獲得した「時」を生み出す仕組みに興味を持ちました。学部生の時から一貫して概日時計の分子メカニズムについて主にマウスをモデルに研究を行ってきました。学部生の時には時計タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体を自作し(これらは今では市販されていますが)、大学院ではこれを駆使した生化学により時計タンパク質が時刻依存的にリン酸化されて質的に制御さていることを報告しました。また超並列型シーケンサーやオービトラップ型質量分析装置を利用し、ChIP-Seq、RNA-Seq、インタラクトーム、リン酸化プロテオームなどビッグデータサイエンスを扱い、個々の木の詳細を見る分解能で森を理解したいと考えて研究を発展させてきました。そんな中で出会った本領域のメンバーとの会話が刺激となり、時間タンパク質学領域の創生に至りました。これは、転写フィードバック仮説を覆す概日時計研究に始まり、寿命や季節応答、睡眠、発生など様々な時間スケールの「時」を生み出す生命現象へと波及すると期待しています。学部生の時から修士、博士、助教と長い間、東大・生化・深田研で研鑽を積み、2021年の4月に東京都医学総合研究所にて独立して研究室を主宰することになりました。その初年度に本領域が発足し、とても興奮しています。ワクワクするような研究を展開していきたいと思います。
主要論文
- Masuda S, Narasimamurthy R, Yoshitane H, Kim JK, Fukada Y, and Virshup DM, Mutation of a PER2 phosphodegron perturbs the circadian phosphoswitch, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 117: 10888, 2020
- Yoshitane H* (*Co-correspondence), Asano Y, Sagami A, Sakai S, Suzuki Y, Okamura H, Iwasaki W, Ozaki H, and Fukada Y*, Functional D-box sequences reset the circadian clock and drive mRNA rhythms, Communications Biology, 2: 300, 2019
- Imamura K, Yoshitane H* (*Co-correspondence), Hattori K, Yamaguchi M, Yoshida K, Naguro I, Ichijo H and Fukada Y*, ASK family kinases mediate cellular stress and redox signaling to circadian clock, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 115: 3646, 2018
- Terajima H, Yoshitane H* (*Co-correspondence), Ozaki H, Suzuki Y, Shimba S, Kuroda S, Iwasaki W, Fukada F*, ADARB1 catalyzes circadian A-to-I editing and regulates RNA rhythm, Nature Genetics, 49: 146, 2017
略歴
2009年5月東京大学 大学院理学研究科 博士後期課程 修了
2009年5月博士(理学)、東京大学
2009年6月~2009年10月東京大学 大学院理学研究科・研究員
2009年11月~2021年3月東京大学 大学院理学研究科・助教
2021年4月~現在現職
所属学会
- 日本時間生物学会
- 日本生化学会
- 日本分子生物学会
趣味
美味しいご飯やお酒を楽しむ、無課金スマホゲーム、子供と遊ぶ